言葉を育てるポイント①
こんにちは、言語聴覚士のMです。
前回の続きで、今回はことばが出てくるなと思うポイントの一つである、物や音をどれくらい“分かっている”かについてお伝えします。
私たちは色や形や大きさなどの特徴から、実際に触ったり食べたりしなくてもそれが何であるかを判断できます。
目で見る(特徴を見分ける)力はバナナとりんごとみかんをそれぞれ別のものと認識して、その名前を覚える力につながると考えられます。
まずは、その物がどんなものか分かること、その物に対するイメージ(概念)を作っていくことが必要です。
お子さんが実際に経験したり、見聞きしたりする中で作り上げられていくと考えられます。
このような物や音を理解する力を伸ばすためにおこめでは個別の療育の中でどのような課題を行っているかを一部紹介します。
① 物の対応関係を広げ目的を持った行動を形成する・・・日常生活動作の促しなど
例えば、まず、帽子やブラシ→頭、くつ・靴下は→足、スプーン・コップ・歯ブラシ→口、などの対応関係がわかる。
次に、紙と色鉛筆、太鼓とばち、コップと牛乳、などの対応関係が分かる
② 物を適切に操作できる、複数のものを見比べることができる・・・おままごと(包丁で切る、料理はお皿に入れる、食具を使って食べる)、
ボタンを押したりレバーを引いたりしておもちゃを動かす、楽器(ラッパは吹く、太鼓は叩く、ピアノは弾く)など
③ 物の適切な場所がわかる(片付けができる)・・・靴は靴箱、ミニカーはミニカーの箱、ブロックはブロックの箱、などに片づけることを促しま す。
④ 支度ができる、選択行動を広げていく・・・課題ごとに準備を手伝ってもらったり、帰宅を伝え自分で身の回りのことをして帰宅を促すなど
(自宅では、外出時に帽子やくつを持って来たり取り出したりする、歯磨きの前に歯ブラシをとってくる、登園前に登園用のカバンを持ってくる など)
これらの力は主にご家庭や園での実際の生活の中で獲得していきます。
帽子を頭に持っていきかぶる、くつは足に持っていき履く、などを理解して自分で行っていけるように、はじめは大人が手を添えて一緒に行った り、大人が見本を示して教えながらひとりでできるようにしていくことが大切です。
その他、食事場面や遊びの場面などでも多くの対応関係を学んでいくことができます。
ご飯を食べるためにスプーンが必要、牛乳を飲むためにコップが必要、お絵描きをするために紙と色鉛筆やクーピーが必要、などと言われなくても自分で分かることも物事を理解していくことのひとつとなります。
お子さん自身が使うものは自分で用意してもらうことや、食事の前に箸やスプーンを並べてもらう・脱いだ衣類を洗濯かごや洗濯機へ入れてもらうなどのお手伝いの中で促していってもらえたらと思います。
(余談ですが見て分かる力・形を区別できる力を伸ばすことは将来的に文字の習得にもつながっていきます。)
自分で靴が履けるようになったからと言ってすぐにおしゃべりが上手にできるようになるわけではないのですが、これらの力はことばの土台となります。お子さん自身が主体的に自分の生活ができることで、ことばの発達を支える基礎となる力を伸ばすことが期待できます。
親御さんと一緒にお子さんの成長を長い目で見守り支援していけたら嬉しいです。
参考文献:言語発達遅滞訓練マニュアル<1>(エスコアール) 佐竹 恒夫 小寺 富子 倉井 成子 東江 浩美 那須 道子 言語発達障害研究会 (著)
